あーなるほどこれは確かに良くできてるわ。時期的にも『ジョーズ』のフォロワーだろうけれども、巨大な鮫ではなく集団としてのピラニアって特性がものすごく効果的に機能している。映像的にも、至近距離でグチャグチャ何が何だかわからない映像が瞬間的に挿入されるのは効果的だし、何より予算がかからなそう(笑)。下手に稚拙な鮫のSFXされるより、こっちの方が全然良いよねえ。
あと素晴らしいのは「研究所から逃げ出した、強化ピラニア」ってところだよなー。それが自然で繁殖するとマズいので、時間制限があるなかで、なんとかその行く手を阻まなければならない……というのは、映画の目的としてシンプルに強い。普通のサメ映画だと、そういう「環境破壊の阻止」みたいな目標設定って、なかなかやりづらいからねえ。
軍と利権の陰謀が絡んでくるのもなかなか面白いよねえ。こういう「アトラクションのオープンで計画が止まらない」型のストーリーは良くあるけれども、本作は軍の思惑が絡まっているのが、だいぶ先進的な感じ。まーその結果の破滅は、もう少し上手くストーリーに絡められたらなあ、と思ったけど。
あと主人公たちがその役割を担わされなければならない理由とかはちょっと弱い気もしたなあ。全体的に、展開がもう少し練られても良いのかなあとは思った。