おお、コレが例のフランク・キャプラのプロパガンダ映画ね。
まず何より、アジアなんかに全然興味のない自国民に、「中国は連合国の味方ですよ」って説明から入っていて、今見るとかなり噴飯物だよなあ。いやまあ、それが当時の大日本帝国の建て前だったわけだからアレだけど、それにしたってやっぱりアヘン戦争で中国をボロボロにしたのは西洋諸国なワケでしょう。そこら辺の歴史的経緯を棚に上げて、味方である中国を守らなければいけない! ってのはさすがに都合が良すぎるよなあ。
あと、今ちょうど『川と人類の文明史』を読んでいるので、川を壊して日本軍の足止めをしたくだりが、完全に好意的に描かれているのは、まーいかにもプロパガンダって感じ。機械を運ぶ人々の映像がとても印象的だし説得力があるので、そこら辺のストーリーを繋げるのには必要なエピソードだとは思うんだけれども、そういう編集を行うと人は簡単に感情を揺さぶられてしまうんだなーと思うし、やっぱりフランク・キャプラは一流の映画監督なんだなあ、と思いました。
同じ第二次世界大戦を題材にしても、ジョン・フォードなんかのドキュメンタリーって、やっぱりどこか映像作品としての余白があるというか、受け手側に解釈を委ねてるところがあるように感じるんだよなあ。『意志の勝利』も映像の説得力で勝負している感じで、そのビジュアルだけで印象をあそこまで植え付けるのはさすがにすげーなーと思うけど、プロパガンダ映画としてはキャプラのコレが一番タチが悪い気がするなあと感じました。