全然期待せずに見始めたのだが、結構良くてビックリしてしまった。ニコラス・ケイジって、そもそも美形って感じでもないんだし、舞台さえ整えれば、ちゃんとこういう芝居もできる役者だよねえ。仕事を選ばずB級みたいなのにガンガン出ていたからか、映画を見る期待値がめちゃくちゃ下がってしまっていたのだった。
豚を盗まれてそれを探しに家を出る、という冒頭で、豚版ジョン・ウィックみたいなのが始まるとばかり思っていたから、良い意味で裏切られてしまったよ。まさか豚を追いかけて街に出て行くことで、その主人公の過去が少しずつ明らかになっていく……みたいな、シブい展開になるとはねえ。伝説のシェフ、という設定も大変良くて、人の思い出に刻まれるような素晴らしい料理を作っていたことと、それを捨てて豚とともに暮らしていた理由が、ストーリー展開のなかで過不足なく語られていて、いやーコレ良い映画だよなーって感じ。「アウトフィット」とか「ヒストリー・オブ・バイオレンス」みたいに、過去が明らかになってその強さをドン! と見せる話も面白いけれども、そういうのとは一風違って、調理で問題を解決するのもとてもよろしいよなあ。
いや、最近あまり良い映画に当たっていなかったんだけれども、久々にグッときましたよ。