うーん殺意が強い。下種な男を全力で釣る気満々の企画。そしてまんまと釣られる男たち。いやー、ヤバい……ヤバ過ぎる……こんな世界で育ったら「男」を憎んでも当然だし、そしてそういう景色を見たことのない男性とは世界の見え方がまるっきり違いますわね……普通にトラウマを刺激すると思うので、女性よりはむしろ男性が見るべきドキュメンタリーって感じ。
しかしこれ、「フェイク」という仕組みの中でも、仕掛け人の女性の自尊心がゴリゴリ削られていくのが本当に辛いよなあ。性的消費ってのはまさにこういうことを言ってるんだと思うわ。そしてまた、彼女をひとりの人間として尊重してくれる男性が不意に現れることで、それまで彼女が「構造で強制される女性の尊厳の蹂躙」が明瞭になる構成も、本当に素晴らしい。
そしてもちろん、最後の突撃のシーンもまた良く撮れてるよなあ。自分の行為の責任に向き合おうとせず、ひたすら世の中や相手の行為を非難する男性の、自己正当化の理論……日ごろインターネットでよく見るロジックの極めつけっ感じで、あまりのカンペキっぷりになんかもうヤラセなんじゃないかと思ってしまった。
とまあ、映画として素晴らしい瞬間がいくつも収められたドキュメンタリーだけど、極めつけは服にションベンをひっかける犬だよね。いやはや、あの瞬間をフィルムに収められるなんて、ホントなにか超常的な意志が働きかけていることを疑ってしまうレベルの作品だと思うよ。