諸星大二郎って結構前から読んでいるんだけれども、なぜか、なぜか稗田礼二郎のシリーズは触ってなかったんだよなあ。看板シリーズなのにマジで謎。
ということでようやく読んだんだけど、いやー、相変わらずの諸星大二郎だなあ、という感じと、いやでもこれ稗田礼二郎のシリーズじゃなくてもいい気も若干するな、という気持ち。現にこのシリーズ、ラストではスピンオフみたいな感じで別キャラがメインになっているけれども、別にそれでもいいもんなあ。むしろキャラとしては、ジュリーの演じた稗田の方が立っているというか……いや、それは当たり前か。
限界集落の話がたくさん出てくるけれども、ギリギリああいう集落とそこに残った民話がリアリティを持ってた時代なんだろうなあ、とは思う。今だとさすがにちょっと距離が遠すぎるというか、テレビの中の出来事になってしまっていて、現実の人間が足を伸ばして行けるような距離じゃないよなあ、という気がする。川を下った湿地の集落とか、ちょっと今の日本じゃ想像力が働かないというか……あるところにはあったりするのだろうか?
まーしかし、諸星大二郎の絵は怖いなあ。産女の回とか、人間と同じサイズのでかい顔がヌッと出てくるとか、恐怖の描き方のレベルが段違いでさあ。不定形のクリーチャーも基本気色悪いし、こういう温度感を出せるのは才能だなあと思いました。