ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

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まーたこの監督けったいな映画を撮って……いやまあしかし、この映画がきちんと評価されてガンガンアカデミー賞まで取っちゃっている、というのが本当に凄いよなあと思います。もちろんマイノリティをいかに作品の中で取り扱うのか、というのは特に近年のアメリカ映画のテーマではありましょうが、しかしこういう挑戦的な内容でもきちんと評価されるのはなんかもー懐が広いなあ、という感じ。いやー、ほんと羨ましいですねマジで。

平行宇宙ものの映画って、ループものと同じように最近増えているわけだけれども、この映画はそれを徹底的に人間のために用いているのが特筆すべき点だよね。世界が分裂すれば分裂するほど無価値になっていく平行宇宙の仕組みを、「ゆーても平行世界とか関係ない我々の人生だって結構無価値っぽいよね」と強引に人間の日々の実感と結びつけ、徹底的に夫にフォーカスし子にフォーカスし家族にフォーカスすることで、ヒューマンドラマとして再定義してしまう感じ。超アクロバティックな脚本で、SF的な整合性とかをすっ飛ばす割切り方はまあ素敵。

なんだけれども、一方でミシェル・ヨーがこの映画の中心となって、様々な要素を繋ぎ止めてるんだろうなあ、という感じもする。作品中でセルフパロディのように登場するハリウッドで成功を収めた主人公もメタ的には面白いんだけれども、やっぱりカンフーだよねー。平行世界という設定が、あの狭い空間で、2時間軽く越える映画として成り立つためには、アクション映画としての動きの面白さみたいなのが必要だったんだろうなあ、という気はする。いやまあ、やっぱり中年女性がアクションするのって、映像として純粋にいいんですよ、やっぱり。