クリント・イーストウッドの監督デビュー作か。見たことがあったような気がしていたけれども未見だったぜ。
この人は当初からコンセプトが明瞭だったんだなあ。ヤンデレストーカーに襲われる恐怖を描いた作品だけれども、作品の筋自体はかなりストレートというか、そこまで捻ったところはないので、それでサスペンスをしてこれだけ見入っちゃうのは、やっぱり映画が上手いんだろうなーと思う。背景にスッとまぎれ込んでいるストーカーの表情とか、ベタだけれどもやっぱり面白いもんなー。
ストーカーの台詞もなかなか良くて、理不尽だけれども手を変え品を変えこちらに責任を押しつけようとしてくるロジックが表現できていて感心する。純粋な理屈じゃ書けない台詞だよね。
しかしイーストウッドがこういう芸術家をやるのはちょっと違和感抱いてしまうな。若い頃は今と違う見え方してたのかもしれないけれども、クリムトライクなゴールデン寝室のインテリアにはちょっと笑ってしまう。DJの仕事をしているみたいな浮ついた感じも、後のイメージとはちょっと違って面白いよねえ。ま、じゃなかったら包丁女にあんなに苦戦するところを描けなかったかもしれないけれど。
あと途中、一件落着したかに見えるパートで見える謎のイメージシーンもちょっと笑ってしまう。そのあとのジャズフェスティバルもそうだけど、なんなんだあの流れは。