かなり数字や史料によっていて取っつきやすくはないけれども、内容は大変興味深い。戦争中の市民の状況ってこういう角度からも想像できるんだなー。
とにかく序盤の供出運動のところが興味深くて、太平洋戦争みたいなしっちゃかめっちゃかな状況の中でこういうことをしたら、そりゃまあ歪みが出るよね……というのがバッチリと検証されていて良い。国が大局を見誤った結果、郷土の巨木というシンボリックなものが奪い去られるわけで、これはだいぶ象徴的な運動だよなあ、と思う。団体やメディアがそれを迫るロジックというのがまあいやらしいよね。普通はコレ、なかなか抵抗できないヤツだよなあ。
でもまあ何より感じたのは、こういう研究者がいて研究の資料があって過去の事実に光が当たることの貴重さだよな。かなりきちんと資料に当たっているので、それだけでも信頼感が半端ないし、記録を残すことの大切さが身に染みてわかる。そしてそれを追いかける人的リソースがあったのも本当にすごいことで、この研究者がいなければこの事実は永遠に失われていたのだろうな、と思うとやっぱ教育・文化にお金をかけるのは大事だなーと思いますわ。