ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

お嬢さん

 

あれ? なんかこれ『荊の城』っぽいな……と思ったら本当に原作だった。ま、こんなモチーフが偶然似通うわけはないか……

ストーリーの内容をすっかり忘れているので楽しめたんだけれども、見終わっても「原作こんな話だったっけ?」みたいな気持ちではいる。舞台が違ったのもあるけれども、全然記憶が存在しないのは我ながら呆れる。いや、面白かったんだけどね原作も。

この映画もまあ面白かったんだけれども、大ネタ以外の密度がちょっと薄目のところがあって、もう少し色々あっても良かったんじゃないのかなあとは思った。ヒッチコック的などんでん返しが何度もあってそれ自体は楽しいんだけれども、もう少しこう目先の楽しさがないといまいち乗れない感じはする。特にエロ小説のくだりは、もっと色々やりようがあったんではないかなあ……

そうそう、エロ小説といえば、自分が日本人だから楽しみきれないところもあるんだろうなあ、という感じはする。原作はやっぱりエロが禁忌とされていた土地で、密やかな楽しみとして朗読会があったのが重要なわけで、日本人の趣味に置き換えたときあんまりそういう禁忌の感じは出ないよなあ、と思う。っていうか日本家屋でなにかを「隠す」「閉じ込める」という意匠がそもそも直感に反しているところはあるよね。

日本語が入り交じるのもなかなか厳しい所はあって、日本語で官能的な朗読を行う……という大変技術が必要なところが上手く行っていないのが厳しい。役者さんは慣れない日本語でがんばっているので、これはもう構造的な問題だろうなあ。母国語じゃなかったらもうちょっと異国の言語の響き自体で楽しめたのかも知れないけどねえ。