ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~

 

あー、これは面白いね。単にひとつの現象ではなくて、現在の社会で若者がどのようにエンターテインメントを受容しているか、受容せざるを得ないか、という一種の社会の見立てになっている。個別の議論にちょっと違和感を覚えるところもあるけれども、全体の問題提起としてはすごく良かった。

ただちょっと食い足りないと感じるのは、「推し」の向こうにある二次創作的なファンから作り手に対する働きかけの部分かな……もちろん消費者として作品を受容する力がより強くなっているのはわかるんだけれども、しかし一方でインターネットを通じて二次創作的な双方向の働きかけもきちんと出るようになっているんじゃないかなあ。で、視聴者から制作者に向けた意見というのは、単に消費者が王様だから、というのではなくて、もっと深く、受け手側が物語を自分の一部として受け取っているから起こる運動で、そういった動きもなくはないんじゃないかなあとは思った。ま、この本の本論とはだいぶ外れるか……

まあでも「サブスクリプションが倍速視聴を生んだ」という考え方が理解できただけでも大変納得感があるよなー。買い切りだったら値段分をたっぷり楽しむのが正解だけど、見放題だったら見まくった方が得、という至極単純な理屈になんで気付けなかったのか。あとはまあ、消費物としてではなく「あなたの物語として」作品を送ることがどれだけできるのか、みたいなことを考えさせられました。