ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

にっぽん昆虫記

 

あー、なるほど今村昌平。見たことないけど「おしん」だなこれは……という感じがした。

終戦から高度経済成長期の流れを切り取った作品自体があんまりよくイメージが湧かないのだけれども、これは正しくそのタイミングを、しかも女性視点で描くっちゅーのがまずすごいよなあ……よくもまあこういう題材で一本撮ろうと思ったもんだわ。「肉体の門」とかもパンパンを追いかけてたけれども、これはもう少し社会を見つめている感じのカメラだもんなあ。

これを見ていると、父親を亡くして、娘からも裏切られて、愛する人からも突き放されて、それじゃあなんで生き続けるの……? みたいな気持ちにまあなるよね。それがラストシーンの山道とOPの昆虫の比喩を繋げているわけかー。いやー、なるほどなー。

普通こういうのって、高度経済成長期の社会に対する警鐘とかそういう形を取りがちだと思うんだけれども、エピソードが時代と共に繰り返されて、しかしそれは単に繰り返しであってそこに何の意味もない……みたいな無情さがあって、さすがだよなあ……

いや、もちろんそこで語られているのは男性に食い物にされる弱者としての女性ではあるわけだけれどもね。それが社会に向き合うことなく、ただひたすら目の前の問題を解消するために強かに生きていくその姿が、かえってこう問題を投げかけてくる、みたいな立ち位置なんだななるほどなー。