うーん、ブラックなタイトルだなあ。
ドキュメンタリーという形で、詐欺事件の被害者の視点をフォローし、いかにも何かの陰謀がありそうな事件を追いかけていくうちに、視聴者自体が陰謀論にハマるところを追体験させるような内容。疑念の中で様々な仮説が生まれては消えていき、真相の呆気なさとそれを受け入れがたさ、陰謀論の魅力みたいなものも含めて、まあよくできている。「クローン病の3%の死亡率って結構あるのでは?」「パートナーに仕事の内容を伝えないのは別におかしくないのでは?」みたいな引っかかりを編集でゴリッと無視して進む感じが陰謀論の思考なんだろうなあ。そしてその先にミソジニー的な思考回路への警鐘を鳴らしているのも、あーはいなるほどそういうアングルね、という感じ。善し悪しはともかくまあ納得感あるよね。
途中で「プレステージ」に対する言及があったりして、うーんちゃんと構成してあるなーと感心させられる。こういう構成がちゃんとあるドキュメンタリーは安心して見ていられますねー。
まあしかしそれにしても監査が入らずこういう業務実態で巨額の金銭取引が為されているというのはまあヤバいよなー。既存の国家体制・政府から独立して金融システムが立ち上がったのは確かに革新的なんだろうけれども、既存のリアルマネーと接点を持つ以上どこかで誰かが信頼を担保しなきゃいけなくなるよねぇ。