ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

薬の神じゃない!

 

すげーよくできてるなー。中国のエンタメ版『ダラス・バイヤーズ・クラブ』みたいなヤツ。

いや、最初はこれ、「体制批判じゃん」「ホントに中国でこの映画撮って大丈夫なの?」ってドキドキしてたんだけれども、ラストで「こういう悪いこともあったけれども、現在中国はこういうふうに弱者救済してます!」って国家の威信がデカデカと回復されてる中身でめちゃくちゃ納得した。なるほどつまりこれはすでに現在の国家から見て善悪がはっきりしていることだから反体制の行動も描けるわけだよね。薬価の元凶が企業に押しつけられているけれども、まあ普通に国として最初から値段に干渉することはできるワケでしょ? そこら辺の悪を外部の会社、しかも資本主義的なメカニズムに押しつけて、国家の威信を高めるという……なるほど大変納得な内容だよなあ。わざわざ警察の中に兄弟の視点を置くのも、大変冴えたエクスキューズだし、中盤でとても泣けるディスコダンスのシーンも、あれは資本主義に対する批判ですよねー。

いやはや、そういう意味で、大変よくできたエンタメ作品ですよコレ。収監前のマスク外しシーンの伏線回収とかも素晴らしいけど、そこでマスクを下ずらしで差別化する小技とか最高に痺れるし、なにより手前で「ゆっくり走れ」という一言を官憲に挟ませるその心遣い! いやー、これはねー、善悪はともかくその巧みさに感心しちゃいますよまったく。