ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術

 

メリエス来た!! ある程度前提として知識が入ってるのは『ヒューゴの不思議な発明』見てたからだろうか。まあこの短編のワンダー見せられると、そりゃまあ魔術にかかっちゃってもしょうがないよね、と思う。多重露光を使った作品のアイディアたるや、素晴らしいものがあるよねえ。頭が分身する短編とか、種が当然わかっていてもビジュアル的に良すぎて思わず見入ってしまうもん。

一方、「月世界旅行」そのもののデキがいいとは思えないなーという感情もある。あくまで劇場の延長線上だったんだろうなあとは思うんだけれども、とにかく画面がゴージャスで色んなことが起こっていて、なかなか何に注目して良いのかわからん、という内容になってしまっているよな。これが声つきの劇場だったらまた違うのかもしれないけれども。まあチャップリンはすごいなあという感じ(比較対象がパッと出てくるほどサイレント映画を見ていない)。あと月の原住民を引き連れて凱旋、というのはいかにも植民地支配ーっ! って感じであるな。っていうかヴェルヌの月世界旅行って着陸しなかったよね……と思ったら、そうかウェルズを挟んで演劇で内容がちょっと改変されていたのかなるほど。

メリエスが映画界を去ってからの映画の発展も足早に触れられているけれども、カメラが俯瞰でキャラクターを撮っているショットは本当にハッとさせられるな。全体を通して、「映画的とは何か」みたいなことを考えさせられるドキュメンタリーではあった。