ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき

 

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき

 

お……おう……これはなかなか興味深い本じゃね……

なんと言ってもハーバー・ボッシュ法のフリッツ・ハーバーの話が面白い。っていうかこのひとの人生映画化されてないの? ナチスとアインシュタイン絡めつつ、なんかいかにも映画化しやすそうな題材である気がするんだけれども、最後にイスラエルに約束の地を見つけつつ、しかしその途中で命を失ってしまう辺りとか、もうなんていうか「作ったんじゃありませんか?」って内容だよね。いやー、めちゃくちゃ面白い。

他の章も全体的に面白くて、例えばコレステロールの話は記憶にも新しいので「あーそういうことがあったんだ」と思いつつ、善玉悪玉みたいな印象が全然更新されてないことに落ち込む。正しい情報は面白くないのであんまり流通しないよね。「沈黙の春」とかもバックグラウンド知らずに「名著らしい」みたいな姿勢で読んだから、注釈とかできちんとフォローしなきゃ行けないやつだよなあ。

しかし「データが大事」が本当に何度も繰り返されるわけだけれども、科学が愚行に変わるときに問題だったのって、結局科学をいかに社会が用いるかという政治的プロセスの問題であるよなーと思った。だからといって、科学者が政治に関わるべきではない……という方向ではなくて、むしろ自分の影響力を自覚して、積極的に社会に関わる方法を身につけて行かなければならない、という話なんだろうと思いました。