ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

手塚治虫のマンガの描き方

 

手塚治虫のマンガの描き方

手塚治虫のマンガの描き方

  • 作者:手塚治虫
  • 発売日: 2016/02/05
  • メディア: Kindle版
 

例の「おっぱいはいくら大きく描いてもいい」の本。

色々見所はあるのだけれども、序盤にまず「マンガは庶民の批判精神」と喝破しちゃっているのがすごいなーと思う。手塚治虫は色々マンガの祖みたいなところに持ち上げられているけれども、その人がマンガという表現を第一に権力に対しての武器として取り上げているのは、やっぱりすごいなーと思う。後半の方で「基本的人権だけは、断じて茶化してはならない」と言っているのもまあ戦争を経験した人の言うことなんだろうなあ、と思う。

と同時に、その「基本的人権は茶化してはならない」のところに、「戦争や災害の犠牲者」や「特定の職業」「民族、国民、大衆」をバカにしてはいけないとは書いてあるが、しかし一方で女性に対しての文言はやはり現代の目から見るとキツいところがあるよなーと思う。やはり根本的にマンガに描くというのは印象を抽象化し先鋭化させるということであって、それは容易に差別的なものの見方に結びつきがちだよなー。やはりそれは根本的に表現が持つ記号化の矛盾であって、常に気を配らなければならないところなのだろうなーと思いました。

他にも色々面白いところはあって、常日頃から脳内にスケッチしているという話があって、めちゃくちゃ納得。そうだよなーいちいち資料見てたらこの量の絵は書けないよなー。

あ、あと当時のマンガ界を劇画が席巻していたことも、それに対して手塚治虫が尋常じゃない危機感を抱いていただろうことも、大変よくわかりました。やっぱり根本的にマンガ観に対立があったんだろうなあ……