ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか

 

めちゃくちゃおもしろいなこれ。

懇切丁寧に疑問がひとつひとつ実験によって解消されていって、まあその手続きを追いかけるのも面白いんだけれども、そこから導かれる結論がまあすごいよねー。我々の能力の発揮を妨げるものがここまで鮮やかに提示されるとビックリしてしまう。

そしてステレオタイプの効果がここまで強力に提示されると、それを社会でどのように受け止めてどうやってその不公正を是正するべきか、という点も考えないとダメだなーという気持ちになる。こういう問題が焦点になる時って、そもそも「ステレオタイプなんて言い訳に過ぎないでしょ」という見方が相手になるので、こういう実験結果が学問のフィールドから出て来ているのは、前提として共有されるべきだよなー。

この本だと作者が黒人で舞台がアメリカであることもあって、黒人差別が一番わかりやすい題材として取り上げられているけれども、日本だとやっぱり男女間のステレオタイプに関わる言説ってことになるだろうなー。うーむー、めちゃくちゃ示唆に富んでいるぜ。

そしてラストの結論として、ステレオタイプを解消するために行われるべきあれやこれやは、一部Googleが言ってる「心理的安全性」に近いところがあるよね。なるほどなー。