ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ダイナー

 

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

  • 作者:平山 夢明
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫
 

なにこれめっちゃおもしろいじゃん! うーわーグローと思いながら読んでたんだけれどもこの作者のファンの知り合いに「グロは控えめだけれど」と言われてうへーと思う。そうなのか。そうか。

まーとにかくそういう人間の痛覚にダイレクトな刺激を与えてくる作品ではあって、暴力的な刺激が主人公の生存本能を否応なしに掻き立ててゆくのがうーんナイス。そしてこんな有無を言わせぬ暴力的な状況を、しかしCUBEみたいな特殊環境ではなく、ダイナーという環境で成立させるのがマジで組み合わせの妙だよなー。飴と鞭と言いますか、塩と砂糖といいますか。かたや痛覚で身近にある死を思わせ、かたや味覚でどうしようもない生への報酬を与えるみたいな。睡眠不足で疲労困憊な脳みそに、激しい両極端からの刺激を間髪入れずにブチ込まれて、「どんだけポンポン変態暗殺者が出てきても、それがダイナーの日常だからしょうがないじゃん」ってリアリティレベルの変更がいつの間にか行われちゃってるのがちょーおもしろい。

でもってそんな非日常に、しかし主人公は「料理ができる」という一点で対応して行くのもまたたまんねーよなー。「ありえないような選択肢を選び、それが正解である」ことの正当化があんまりピンとこないなーとか、さすがにちょっと来客の偶然性が過ぎるよなーとか、まあそういう不満はあったんだけど、料理は理屈じゃなく納得してしまう。まあDINERにおいては料理こそが最も重要で貴重なスキルってことになっちゃってるんだろうなー自然と。