こ、コレがゼウス……!
前に読んだグラフィティの本では、バンクシーを除くとブッチギリでゼウスの「ビジュアル・キッドナッピング」がおもしろかったもんで、縦軸になってどんな面白いものを見せてくれるのかなーと思ったけれども、うーん、正直ちょっと失望の方が大きい。いや、ゼウスひとりの話ではなくて、「アート」の冠を被って行動するにはちょっとお題目がたりなすぎねーか、って感じ。特典でイベントの様子が収録されていたけれども、そこで語られている内容も「えー? そんな程度の理論武装で大丈夫?」って話が多々あって、正直うーんと首を捻るところばかり。いやまあしかしそれだけバンクシーが飛び抜けてレベル高いことやってるってことなのかなー。
あ、でも特典の対談で「リーガル・ウォール」に対する異議が上げられているのがちょーおもしろかった。そもそもグラフィティという行為は法を逸脱しているからこそ表現としての強度があるわけで、もしそれが法律の網の目の中に回収されてしまったら、「社会のルールを破ってまで訴える」というグラフィティの輝きのひとつが失われてしまうのね。なるほどなー。