ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

「ホルス」の映像表現

 

「ホルス」の映像表現 (アニメージュ文庫 (F‐002))

「ホルス」の映像表現 (アニメージュ文庫 (F‐002))

  • 作者:高畑 勲
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1983/10/01
  • メディア: 文庫
 

「すげーやべー本だよ」というウワサを聞いていたので心の準備ができていて良かった。思い入れのある作品について成功失敗包み隠さず詳らかにしていて、考えて考えて考え抜いてつくったんだなーというのが大変よくわかる本であった。抽象的な入門本とかは良くあるけ、こういう実際の血肉の通った思索が滲む本ってなかなか読む機会がないので、まあふつーにおもしろいよね。

いわゆる技術に対する解説も大変読み応えがあって、実写に対するアニメという表現の特殊性を自覚しつつ、いかに技術の限界やら描写の特性やらを乗り越えて行くかってのを考え続けているのがちょーおもしろい。でもねー、やっぱり一番グッとくるのは「滅びる村」に対する思索だよねー。映画を見たときもあの村の描写はなんか普通じゃない迫力を感じるなーとは思っていたけど、やっぱりそういう考えを下敷きにしてのモノだよねえ。

まーしかし、高畑勲が理屈っぽい人ではあるのだろうけど、創作の現場ではたぶん多かれ少なかれこういうこと考えながら演出してるんだよねえきっと。もっと言語化されたモノが世の中に出て、共通言語として流通すれば、作品を見る目も肥えるんじゃないかなあ、とは思います。いやふつーにもっとこういう本を掘ればいいのだろうけどさ。