ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ヒッキーヒッキーシェイク

 

ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA)

ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA)

 

んー独特だなあ。騒動が騒動だったし、編集長のプッシュもすごかったから、一体どんなすげー球が飛んでくるんだろうと思ったら、軽やかにリズムをとって飛び抜けていった感じ。うーん、予想外。たくさんの人間の抱えたあれやこれやをスッと描いてサッと急所を刺してサクッと身を翻すような……凄まじいテンポで会話が進んでいくもんだから、刺されたあとも「え? 今何あったの?」って驚いてしまう感じ。Twitterを見てなるほど納得な作風である。

思いのほかSFっぽさが薄かったのにはちょっとビックリしたなあ。どこかで聞いたリアルなアイディアを作品内にビックリするほどのスピードで取り込んでくるけれども、それもまた千切っては投げ千切っては投げで、えーもうちょっと深掘りしないのって感じ。まーでもハヤカワJAって別にSF専門ってわけじゃないからいーのかーこのくらいの塩梅で。

ひきこもりが集まって何かを成し遂げる! ってわかりやすいフォーマットなのに、そこまでかっちりとしたカタルシスがあるわけでもなく、しかしそれはそれで全然悪い感じもせず。正直言ってもっとたっぷりやってもらった方が個人的には好きなのだけれど、そしたらこの小説の奇妙な前向きさみたいなのがなくなっちゃう感じがするからなあ。