ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ジョーカー

wwws.warnerbros.co.jp

うーんちゃんとしてる。すげーちゃんとしてる。

とにかく脚本がよろしくて、大衆への影響を絶妙な距離感で描いていることにまず唸らされた。インターネットみたいなものを使っていないにもかかわらず、きちんと今日日の問題の戯画化ってできるんだなー。まあ大衆を描く以上当たり前なのかもだけれどもさー。そしてそこにジョーカーが積極的に関与するのではなく、むしろ悪の象徴として担ぎ上げられちゃうのがクレバーだよなあ。彼の物語は本当に個人的なものにしか過ぎないというのがとても良い。

ジョーカーが物語の因果関係を突き詰め幼少時のトラウマに行き着くと、かえって彼の復讐の原理が失われてしまう辺りも最高にクールだった。ブルース・ウェインのトラウマが物語の目標と一致してるのと対になってる……と見せかけて、この映画内の両親殺害ではそこをびみょーに外しているのも大変よろしい。超巧み。

あと過去の映画の引用も大変良く効いていて、母親との関係はノーマン・ベイツ想起しちゃうよなーとかこれだけ時計を目立たせといてモダン・タイムズをああ使うのはズルいよとか、まあいろいろあるんだけど、しかしまあなんと言ってもキング・オブ・コメディでタクシー・ドライバーなロバート・デニーロを持って来ちゃった時点でずるいわなーどーしたって。クライマックスをあのテレビでの討論に持ってくる構成なんだからもうそのくらいの格は欲しいよね。そしてロバート・デニーロが「待ってました!」って感じで無様に死ぬのはマジで爆笑。あそこ最高。

しかしなー、局所局所でいかにも(あざとらしいくらい)映画っぽくとろうという意識がガンと出てて、なんかかえって鼻白んじゃう感じもあるんだよなー。いやまあラストの見せ方とか、オシャレにとれてるなーとは思えるんだけどさー、なんだかなー。この監督の「ウォー・ドッグス」見た時の、「うーん、ちゃんと面白いんだけど『ペイン&ゲイン』みたいな突き抜けたトコまではいけてねーんだよなー」みたいな感じは、まあ、正直ちょっとある。