ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

方形の円 (偽説・都市生成論)

 

方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)

方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)

 

適当にポチって読み始めたらなかなか面白くて良かった。あんまりこういう小説は読まないけれども、序盤で思ったのは「あ、中島敦っぽい」って感覚。いやまあ違うっていえば全然違うんだけれども、自分はあんまりこういうジャンルに詳しくないもので、『文字禍』とかってこういう肌感だったよなーとか思いながら読み進めたのだった。逆にいうと中島敦ってSFだったんだなーと改めて思ったりもした。

でまあこの短編集なんだけれども、奇抜な空想都市のずらずらオンパレードが高速でガンガン目の前に現れるもんでもうついていくだけで大変。時間も空間も視点もジャンルももう縦横無尽に行ったり来たりで、むしろそれらが同じテーマとして括られる「都市」って概念がいかに複合的なものであるかを考えさせられますよねー。いちいち都市の趣向は面白いのだけれども、それとは別に短編小説としての趣向も楽しくて、すげー密度が濃いなーと言う感じ。加えて具体的なビジュアルと小説としてのマジックがイイ感じで融合していて、いやー満足でございました。

あと結構あとがきやら解説やらの内容が濃くて、ルーマニアの時代背景の中でこういう本が紡がれた経緯とかも載っていてなかなか楽しい。そーかこういうかなり抽象的な内容でも、当局の手ががっつり入るんだなーとビックリしてしまいますね。