ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

T2 トレインスポッティング

 

T2 トレインスポッティング [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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無印から立て続けに観た。

連続したからこそ拾えるディテールもたくさんあって、まあとにかくきちんとした続編だなあと感じた。リアルに20年経ってから20年後の続編を書くというのはまあ本当に洒落ている……というかむしろ戦略的だなあと思う。

そう、この映画はめちゃくちゃ戦略的だ。前作はとにかく散文的な日常に突然ドラマが持ち込まれる構造で、それは正直意図的かどうかわかんねーなーと思うのだけれども、今回は明らかに全てがコントロールされてる。冒頭からいきなり心筋梗塞が起こる超ドラマティックなストーリーは、作中作といういかにもわかりやすい形で紡がれる。超印象的なオープニングは適切な場所で適切に使用されて恋愛を成就させるマジックとなるように、20年前の出来事がストーリーの転換点をきちんと準備している。ストーリーにはきちんとエンターテインメントして前作の無意味な自然パートさえ取り込んでしまう。ぶつ切りで途切れる音楽は何度も繰り返された挙げ句、当たり前のようにラストで前作の冒頭につながる。適切。適切。適切。適切なストーリーは好きなはずで、ここまで洗練されると正直鼻白んでしまいそうだ。

しかしまあそんな小癪な戦略に対する反感も、役者の顔の説得力が全部塗り潰してしまう。それぞれがそれぞれに歳を取っていてそれだけでも20年の時間に唖然としてしまうのだけれども、とにかくユエン・ブレムナーの説得力が半端ない。同じキャラクターを演じていて根本的にはなにも変わっていないはずなのに、しかしその顔に刻まれた皺が彼の過ごした時間を想起させてたまらない。街を出たところでストップモーションで止めてしまえば良かった作品は、強制的に再起動されて20年後のリアリズムでエンターテインメントなストーリーを語っている。それもまた大いに戦略的ではある。