電撃文庫はホント大賞よりも周囲の賞の方が良くできてるよなー。いやあ、面白かった。
ヴィクトリア朝のロンドンを舞台にすると大体メイドとかお屋敷とかに行っちゃいそうで、今までそうじゃない同時代のラノベって読んだことあるのたぶんえーと、『ブラックランド・ファンタジア』とかまで遡ってしまうんではないだろーかてきとーだけど。あれはチェスで金を掛ける話だけれども、これはトランプの賭博の話でありますね。
ヴィクトリア朝のギャンブルってあんまりよく知らなかったので、学習ラノベ的に知識がモリモリ増えていくのが超楽しい。紙幣が流通するようになり始めているあたりとか、そういう歴史的に大事なところにもきちんと触れてあっていいよねー。動物園で奴隷の出自がわかるところとかホントうめーなーって感じ。良くできてるわ。
そして肝心のギャンブルは、両方表のコインだとかブラックジャックのカウンティングだとか、そういうまあいかにもベタベタなところを超上手く使いながらも、ラストでちゃんと「試合に負けても勝負に勝てたらOK」という視点の転換による主人公立てを行っていてとても良い。ライバルを下げることもなく、むしろハンカチに包むという行為で関係性がこれからどうなっていくかを想起させるというのも本当に上手い。
難癖をつけるとすればちょっとヒロインの活躍が不足していたことくらいか。いやホント上手いですわー。安心して推せてとても良い。