ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

絆回廊: 新宿鮫10

 

絆回廊: 新宿鮫10 (光文社文庫)

絆回廊: 新宿鮫10 (光文社文庫)

 

お、お、お、終わってなかったんかーい!!!! ぎゃふん!!

いやー、てっきりシリーズ終わってるものだとばかり思っていたからビックリしたよ。今も久々に雑誌で連載してるのね。途中まで「これ例の切り札に決着つきそうにないけどどうすんの?」とハラハラドキドキしていたのがアホみたいである。

とはいえ作品はもうクソ面白くて、ここで桃井殺しちゃうのかうひょー! と鮫島と一緒に圧倒的な喪失感を味わうわけですよ。ここまでの蓄積があってのこのカタルシスですよ。いやーたまらん。このシリーズは結構都合良く色んな出来事がひとつの点に結びつきますけど、新宿という街をそういうことが起こりえる世界として設定してしまっているからなー、ここまでくるともう全然不自然には感じないよなー。

しかし今回の見所はなんといっても例の叙述トリックで、いやーまさか今更一人称の主が実は男みたいなベタベタな仕組みでこんなに心揺さぶられるとは思わなかった。っていうか泣いた。ムショ帰りの男を健気に待つ中年女の一人称かと思いきや、それが実はオカマの叶わぬ恋心ということが明かされたあの瞬間の衝撃! なんでこんなに衝撃を受けたのか自分でもよくわからないがとにかくまあ圧倒的な説得力に打ちのめされてしまう。普通桃井みたいな蓄積のあるキャラクターを殺すのってそれなりの説得力が要ると思うんだけど、偶然の出来事含めてこの巻の彼の活躍には全くケチつけられないですね。

いやー、前巻もそうだったけど、事件の周辺にいるサブキャラの強烈な個性で作品の印象をさらっていっちゃうの、すごいよなー。感心するしかありません。めちゃくちゃおもしろい。