こういうワンシチュエーションの作品は好きだけど、ちょっとアイディアが足りなすぎる感じがするなあ。駆け引きは足りないし展開も乏しいしオチはもう一声、という印象。まあなんにせよ「壁」の意味があまりにも薄すぎるのが良くないのではないかなあと思う。これだけ道具立てが少ないと、敵と味方を隔てるための壁はどうしたって象徴性を帯びなければならないし、ただの遮蔽物で終わっちゃいけないんじゃないかなあ。
そもそもの大きな流れからしても、「壁の向こうに敵がいるはず」という物理的な障害だったものが、自分の身を守る盾になって、それから相手の通信が入って向こう側の敵を隔てる心理的な障壁になって……という流れになっていて、それに応じるかのように壁も面積が少なくなるのだから、何も意図しなくても象徴性は帯びちゃうよね。いきなり壁を崩して相手の姿を見れるように行動するのは、それはまあ確かに兵士の行動としては当然なのだろうけど、映画として正しいかどうかはわからん。もう壁そのものが少し色んな見え方をするように撮れないと、やっぱり間が持たないんじゃないかしら。長い映画ではないのだけれども、作品がずいぶん間延びして見えるというか……まあそれも兵士視点では正しい効果なのかなあ。オレはあまり好感持てなかったけど。