- 作者: ルイス・キャロル,河合祥一郎
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: ペーパーバック
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「不思議の国」に引き続き「鏡の国」。
こっちもだいぶ前に読んだはずなのに、印象としては圧倒的に弱く、うーんどんな内容だっけ? と思い出しながら読み進めたが、いや、うん、これは印象弱くなってもしょうがないわ。口述スタートの「不思議の国」の奇想天外さが、チェスに象徴される理知的な感じによって消されてる感じ。相変わらずナンセンスさがガンガン炸裂してるのはわかるんだけど、それってある種テキスト芸みたいなのに寄っていて、不思議の国であった「自分の涙に溺れる」とか「首が伸びて体が見えない」とか、そういう直接的にわかるユーモアみたいなのがずいぶん後退しているよなあ。チェスの趣向も、もう少しふだんからチェスに触れてれば見え方が違ったのかしら? うーん、そうかなあ?
章の終わりにちゃんとヒキがあるのも、普通のお話ならポジティブに作用するはずなんだけど、この作品にとってはあんまり良くない感じがする。前のナンセンスエピソードに何らかの決着をつけないまま、ヌルッと次のエピソードにスライドしている感じで、それはそれで独特の効果はありつつも読んでいて辛い。逆に、「不思議の国」でアリスがひとり会話しながら森の中を歩くのはとても効果があったんだなあと思った。