ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

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列車をひとつの世界として秩序を立てるというのは理屈としてはわかるのだけれどもこのリアリティで描くにはさすがに無理がないですかね? せめて列車をアホみたいにデカくするとかそういうわかりやすいリアリティのタガの外し方は必要でしょう。っていうか線路が点検できないことにひとつ言い訳をしてあげるだけでも全然見ている感触が違うと思うんだけどなあ。

例えばマッドマックスは車に宗教的な属性を付与することに成功していて、たぶんこの映画もそういう感覚で列車を捉えて欲しかったのだと思うのよ。なにが違うんだろうなあ。トンデモカーを有無を言わせぬ説得力で描けていたとか、その世界の住人の宗教に圧倒的な迫力があったとか、あと端的にその世界の叙情があったとか? 刑罰として列車の外に腕出して砕くってエピソードはかなり強度があったと思うんだけど、炎を持ち出しただけで神話になるとかちょっと意味がわからんし、ゴキブリ大量生産は一体どうやって行ってるのか謎だったし、っていうかそもそも前の列車と格差をつくる意味がよくわかんなかったしなー。マッドマックスの子孫を残すことが至上である価値観と、この世界の管理を中心とした世界観は完璧に対比関係にあって、車と列車とかはお互いの比喩になっているとか、書いていておー確かにそうだなーなるほどなるほどーと感心してしまっているが、すると問題なのはやはり管理社会におけるリアリティを見せられなかったことか。マッドマックスにおける種や乳や水や子供の重要性が車という一点できちんと神話的世界観に回収されていたとすれば、列車の中で用いられる独自のアイテム、例えばプロテインバーとか管理社会の象徴として機能してれば良かったのかしらねえ。普通にコンドームを崇める列車で良かったのではないかと思う。

ラスト手前の寓話? と思いきや実話! でそれぞれの立ち位置が明かされるシーンは大変グッド。なんだけどラストのどんでん返しで感情のもっていき場所のないまま爆発で「あ、これ死ぬじゃん」ってエンディングはなんにしてもひどいよなあ。