ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

喝采

 

喝采 [DVD]

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あらまあなんて絶妙な映画でございましょう。敏腕演出家が舞台の成功を目指して落ち目の酒浸り役者を主役に抜擢し……という建て付けだったらまあ普通に困難克服して成功してハッピーエンドを目指すおもしろストーリーを期待しちゃうと思うんだけれどもこの話は全然違う。抜擢された主役は合否を貰う前にいきなり帰っちゃって自宅には美人人妻グレース・ケリーが待ち受けてなにやらビミョーな空気。誰の言葉を信じれば良いのかわからない心理的駆け引きがガツガツ行われて主人公のトラウマはあーこれ絶対解消不可能なヤツで、えーこの話どうするの? って感じ。キス一発からの反転攻勢は正直「えーっ」て感じだし、そこからのトラウマ解消も「あ、それでOKなんだ」って感じがなきにしもあらずだけど、まあ物語を転換させる最低限の働きは行ってるしいいか。ラストの修羅場で色んなあれやこれやにちゃーんとケジメをつける展開になってたしね。

あとはなんと言っても演出の慎ましやかさがズルいよなあ。子供が事故に遭うところをフレームの外で見せるのは最高だし、描きようの大変難しい役者の復活パートを飛ばすのも賢明な判断だし、ラストのフェードアウトのタイミングも絶妙! いやー、演出の腕が最高に冴えてる映画だなあ。