うーんすごい。普通にストーリーもちゃんとしていて、ストレンジャーが現代社会に現れることで我々の常識が疑われるというベーシックで強力な大枠を使い、途中で意外な犬伏線によってヒトラーが追い詰められたり、後半の後半まで被害者を伏せておくつくりにして決定的な一言にさせたりと、まあ良くできているのだけれども、そこにモキュメンタリー調のメタ構造をブチ込んじゃうのはマジで感心する。メタを一発挟むことでそれまでのモキュメンタリーのわざとらしさ・稚拙さが一周して「つくったもの」として認知され、逆に作品が現実に接続されちゃう感覚。ヒトラーが現在に蘇るという建て付けなんだから、究極的には現代に生きる我々の話にしなきゃならないわけで、それをこのアクロバティックなメタ装置が上手いこと成立させているように思える。いやー、素晴らしい脚本。
あとはなんと言っても『ヒトラー最期の12日間』のパロディーシーンで、あんなん爆笑せざるにいられないじゃないですか。カット割りのたびに原作のシーンが脳内に蘇って、こんなん最近『レディ・プレイヤー1』で味わったばっかりの感覚だよ。
まあなんにせよ、こんないろんなテクニックを用いてエンタメを作っちゃうドイツって国はマジですげーなーと思う。メルケルが首相務める国だよなーやっぱり。