基本的にはこういう脚本嫌いなんですよ。ロードムービーでちょっといい話っぽいつくりなのに、色んな出来事がいかにもフィクショナルに巻き起こって、それなのに個別のエピソードが全体のストーリーに回収されていかない。ジジイの死なんて本当にひどくて、普通あそこまでやったら会場に車椅子で連れて行くでしょ? なんで雑に死体を引き取らせたりしちゃうの? 爺の死はただ危機を乗り越えるために利用されただけなの? 色盲発覚のエピソードだって、突然あそこで思いついてそのままスルーでラストでしょ?
作品全体が雰囲気の良いロードムービーって感じで、まあこういう不条理展開もあってもおかしいよねみたいな空気をなんとなく読み取ってしまうからスルーしちゃうけど、この映画の脚本って実は登場人物をこの期間に色んな不幸に合わせちゃおうという意図に満ち満ちているんだよねー。だからそれらのイベントがラストできちんと回収されないのはすげー違和感があるよオレは。
とはいえまあこのジャケットになっている車押しエピソードが強力すぎたんだよなー。バラバラの家族が娘のために協力して車押して走るというのはもう映像的に強度が強すぎて、それが明確にストーリーのテーマを指し示していて、もうコレが表現できたら他はワリとどうでもよくなっちゃうレベル。なんかくやしいなー。