『沼』を読んでしばらく経っていたが続きを。
まあ途中の大ネタは見え見えでカイジ君そんなヤツでひっかかっちゃうのかよぉ? とか逆にビックリした。まあ情に脆いみたいなキャラ性と緩みに緩んでいたって言い訳でなんとかギリギリセーフって感じか。
牌の状況なんかをじっくり見て楽しむような読み方はあんまり向いていない印象のゲームで、ギャンブルとしての深みもそこまであるわけじゃない。ので、どちらかと言うとこのシリーズは心理戦と関係性を描くことに注力している感じですね。相手が自分に隠し事をしているかもしれない、というのは地雷ゲームの醍醐味であるわけだけれども、その心理戦がチーム戦として範囲を拡張する瞬間の面白さは確かにデカい。そこにきちんと見届け役としてギャンブルにフェアな人間を置いておくクレバーさもさすがだなあと思う。カイジの逆転の手段の仕込みも見事で、トイレの展開を上手いこと逆用してギリギリのセンでトリックを成立させるのだからさすがだなあ。
一方で元手がないカイジのキツさを描くのには正直失敗している感覚があって、中盤以降で負けた場合のペナルティは示されるけれども、血を抜いたりするギャンブルとは違ってそこにはイマイチリアリティがないのが緊張感を減じさせてるよなあ。まあそこまでテンション高める必要がない相手だったって判断があったのかもしれないけれども、「死」みたいなレベルのものがチップになっちゃうと、逆に真実味がなくなってしまうのだなあ、と今更思いました。