ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ジム&アンディ

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マン・オン・ザ・ムーン』にはすげー衝撃を受けて、それ以降結構作品に対する態度が変わったんじゃないかと自分でも思えるのだけれども、その舞台裏にこんなドラマが隠されていたなんて……驚き、というよりも、納得。やっぱりあの映画からビシバシ伝わってくる「ホントかウソかわからない感」は異常だったもん。マジであの映画傑作だよなあ。

役になりきるというのはまあ色んなところで聞く言葉で、そこら辺に虚実入り交じって肉薄するドラマって例えば『山田孝之の東京都北区赤羽』とかも好きなんだけど、『マン・オン・ザ・ムーン』はさらになりきった先がまた虚構を創る人間という構造になってるんだよなあ。フェイク・ドキュメンタリーってのはフェイクを如何に現実に近づけるかというのがキモだとすると、『マン・オン・ザ・ムーン』はそもそも最初からかなり虚構であることに自覚的な映画で、むしろ真実を虚構化したり虚構の中から真実を見つけ出そうとする話だったと思う。でまあ、そんな虚構を創ろうとしていた人間が、実は虚構に取り込まれつつあったというドキュメンタリーって、なんだよこんなん面白くないわけねーじゃんか!

ジム・キャリーが役作りというクリエイティブのための大義名分で全力で虚構の存在になりきり、その彼の態度がバリバリと映画制作という現実を浸食し、そしてまたアンディ・カウフマンのリアルの知り合いさえジム・キャリーをアンディとして扱い出すようになるとか、もう傑作すぎて涙出るわ。現実も虚構も物語のひとつに過ぎず、ジム・キャリーの役作りとアンディ・カウフマンの人生はその垣根を破壊し、実の娘の人生のよすがにさえなるとか……

しょーじきドキュメンタリーとしてのつくりの善し悪しとかじゃない。この映画の舞台裏で起きていたこの事件を、こうやって世の中に出してくれたことに、心の底から感謝したい。