ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

タタの魔法使い

 

タタの魔法使い (電撃文庫)

タタの魔法使い (電撃文庫)

 

電撃文庫の大賞ってダメな小説に賞あげちゃうこと多すぎない? あまりにダメすぎてどういう意図でコレを選んだのか選評を読みたいんだけど、あれ? ちょっと見当たんない? ネット上で公開されないとか今時あるのかしらん?

とまあ、感想を書く前に途方に暮れてネットの情報を漁ってしまうくらい、コレを選んだ人間の理性を疑っている。はっきり言ってこの作品、稚拙すぎるよね。異世界でフェイクドキュメンタリーをやるのはなるほどアイディアとしてはアリだけれども、それをきちんと描くだけの表現方法への理解が圧倒的に不足している。いやまあこういうチャレンジをするその意気は買ってもいいけど、選ぶ人はそのチャレンジが効果を発揮しているかどうかを判断してちゃんとジャッジしてあげないとダメでしょう。ぶっちゃけ作品の善し悪しが判断できない人間が「アイディアが新しいからすごい!」のクソ幼稚なオリジナリティ信仰で通したようにしか思えないよ。いやまあオレ異世界もの良く知らないからフェイクドキュメンタリーが新しいのかどうか知らないけど、でもそうとでも考えないとこの作品がこの稚拙さを抱えたままに大賞を取ることのできたロジックが想像つかん。

あまりにもアホくさすぎてこの作品がなぜ稚拙なのかを細かくあげることは避けるけど、根本的には絶対的にリアリティを担保しなきゃならない構造のこの作品で、このクソペラペラなリアリティでお話をつくっちゃうのはまああり得ないよね。お話の都合のためにそれぞれのキャラクターのリアリティがブンブンブレまくるブレまくる。でもってその都合の良い物語が、この事件を後に高みから断罪する語り手の軽薄さと合わさって、はっきり嫌悪感を抱かせる内容になってる。人間に悪人だの失敗だのレッテルを貼って物語化する行為って、特にノンフィクション作家にとっては醜悪の一言に尽きる行為だと思うけど、それを得意げにやってるように見える。でまあその醜悪さがそのまま作者の姿に被さっちゃうんだもんなあ。本当にこの構造は良くないよ。

あと普通にエンタメとしてもまずさが目立ってて、まあ色々ヤバいんだけどとにかく決定的なのはラスト。最後の試練で唯一「お、そのテーマを持ってくるか!」と思わせた治癒の人の葛藤ドラマを完璧にスルーして現実に帰したのはヤバすぎる。お話の作り方としてありえないでしょマジで。なんで周りの人も止めないの? ああいうビターな味付けを仕込ませることが作品の高尚さを引き立てるとか思っちゃってるわけ? あんな苦しみを抱いたまま現実世界に戻ってこれるなら、そもそもラストの葛藤そのものが成立してねーじゃん。ほんとありえねーんだけど。