ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

物流は世界史をどう変えたのか

 

物流は世界史をどう変えたのか (PHP新書)

物流は世界史をどう変えたのか (PHP新書)

 

うーむー……想像していたのとちょっと違った。物流というキーワードを中心に据えているものだから、てっきりもう少し俯瞰して世界史を捉える本なのかなーと思ったら、結構個別の事象に焦点を当てた細かい話なのだった。

もちろん細部を捉えることは重要だしソレはソレで楽しいし色々知らないことがあったので楽しくはある。ヨーロッパの森林資源の枯渇とバルト海貿易の重要性とか朝貢貿易が機能するのは中央の力が強いときに限るとかんほーほーなるほどって感じ。ただもうちょっとじっくりそれぞれの問を掘り下げていって欲しかったなあ、というのが正直なところで、例えば「なぜイタリアが衰退したか」というメチャクチャ興味深い問への答えが結構印象に残っていないのはうーんどうなのかなーと思う。もう少し物語として興味深いものにできたんじゃないのかなあ。なんだか一生懸命頭に詰め込んだ高校時代の復習だなーって感じ。

むしろ世界史の中で「流動性」が高まることでどのような社会的変化が起こったのかをもうちょっと俯瞰して見たかったのが正直な感想。度量衡が統一されることや都市国家で金融の発達が阻害されたことや大英帝国が緩やかな連帯を保って反映したことなんかはもしかしたら物流の視点から対比できるのかも知れないし、そういう歴史を横断した大きな共通の視点みたいなものをもっと感じたかったなあ。