途中にこれでもかこれでもかとサーカスのシーンが差し込まれていて、うーんなるほど当時はこういった映像そのものが映画として説得力のある娯楽だったのだよなあと言う感じ。当然今見ると全然物珍しさも迫力もあるわけでなく、途中に差し込まれるサーカスシーンはそのスペクタクルやサスペンスといった面から言えば冗長。とはいえもちろん洗練された芸は人間相手である以上時を経ても全然色褪せないわけで、例えば馬の上で軽業を疲労するロリの一幕はほんとビックリするくらい見入ってしまう。紐一本くくりつけただけであんな無重量な軽業ができて、しかもちゃんとパントマイムの笑いを入れて来る辺り、いやーすごいなあと感心。
一方ストーリーはそんな構成のおかげで結構間延びしていて、お話としてはまあ押さえるべき所は押さえてると思うんだけど、新しい展開があるたびにサーカスシーンのインターミッションで集中力が続かない。人間ドラマは人間ドラマで集中したいのになー。ただクライマックスに向けて突然差し挟まれる脱線事故の迫力は異常。それまでまあわりとフツーのドラマだったのが色んなものの歯車狂って一気にアクシデント発生、というスケールの変化が大変印象に残る。
あとはなんといってもテント張りかなあ。別に映画全体の中で見たら対して重要な箇所ではないかもしれないけど、新しくやってきた街にたくさんの人間の手で娯楽施設が打ち立てられていくのってミョーに感動的。サーカスそのものに対する人々の期待が可視化されていく感じがするからなのかしらねえ。