キューブリックは好きな監督なんだけどここら辺が抜けてた。あとは『恐怖と欲望』だけだなあ。
自分はもうとにかく『シャイニング』が好きで、カラーの作品を結構繰り返し見たりするのだけれども、だいぶ映像の作法が違ってておーっとなる。西部戦線突撃シーンの望前ボケ生かしてクレーンでカーク・ダグラス追いかけるあの生々しさったらビックリしちゃうよね。クレーンで奥行きのある戦場を見せるわかりやすいスペクタクル感も「まるでスピルバーグ見てるみたいだ!!」となるし、ってか最近『戦火の馬』見たばっかりだし、普通にオマージュされてそうだよなーと思ったら
スピルバーグの「戦火の馬」http://t.co/cElc0L80 とキューブリックの「突撃」http://t.co/eG4NXsvJ 2ついっぺんに並べて観てください
— 町山智浩 (@TomoMachi) 2012年8月30日
とかすぐに見つかってやっぱそうだよなと。いやでもその映像自体はあんまりキューブリックっぽくは感じないよね。冒頭の部屋の対話シーンでのカメラも野心的だけどああいう長回し含みの動くカメラってそんなにこの監督の印象がないし。
逆に広角で塹壕の中を前後移動してスモークたいて、というのはいかにもキューブリックっぽくて笑っちゃったし今すぐステディカムあげたいくらいに思った。あとはなんと言っても銃殺シーンで、それまで極力抑えられていた左右対称の静的なカメラがああいう非人間的なシーンで切り返しでズドンと襲ってくると、いやあそれだけでもうなんか変な回路を刺激されてしまいますね。
あとはストーリーか。正直この監督の映画ってかなり超然としているというか、人間をポンと突き放した神の視点みたいなのを強く感じることが多いのだけれども、そういう意味ではワリと良心的よね。っていうかラストの歌一発でなんかよくわからんけど感動してしまう、みたいないかにもなマジックをこの監督に見せられて、えーこういうこともできるんかってかなりビックリしてしまった。