テリー・ギリアム。『未来世紀ブラジル』の未来感はおったまげたし、甲冑武者がべかーっとなって「わっはっは最高!」となったもんだけど、それからもうだいぶ時間が経ってるわけで、ちょっとこの想像力で描かれる世界にはついていけないなあというのが正直なところ。たぶん80年代とかではこのディストピアにも説得力があったのだろうけど、2010年代には2010年代のディストピアがあって、そっちの方が余程切実でドラマティックだったりするもんだから、今更こういう問題意識を描かれてもなーという風には、思ってしまうよねえ。例えば唇が警告を発する表現とか、確かに映像的に説得力はあるんだけれども、それで描かれる光景ってやはりレトロな趣を帯びてしまうわけで。あのバーチャル世界の描き方なんかも含めて、意図的な世界のつくりではあるんだろうけど、どうにも無条件には肯定できないよなあ。
それにしても外の世界のホログラム含みの世界を見た時の心の躍らないことといったらなんなんだろう? 普通あの画を見せられたら「うおーすげー!」ってならなきゃいけないところだよねえ。まあ色々な映画ですでにそういう描写を見ていたからかも知れないけど、それにしたってなあ……。