なにをおいてもまずカラー。カラーパートへの転換で泣いてしまう。技術によって映像表現が進化した時、それをいかにエンターテインメントで昇華するか、という問題の素晴らしい解法。背景が明らかに書き割りでも構わない。カラフルな魔法の国をここぞとクレーンでグイッと見せる。そして黄色い道をゆきエメラルドの都へ! いやー、素晴らしい色をめぐる物語だなあ。
ちなみにこれBlu-rayに解説がついていて、『オズの魔法使い』がいかにアメリカの家庭で受け入れられていったかみたいなドキュメンタリーだったんだけれども、モノクロテレビからカラーテレビのタイミングのエピソードが描かれて最高に感激した。いやー、なんで色がつくだけのエピソードでこんなに感激するのか自分でも良くわからんわ。
道中は有名なミュージカルのはずなのに意外と知ってる曲が少ないなーとか、ライオンの顔はどう見ても笑っちゃうよなーとか、黄色い道を外れた花畑のエピソードが全然よくわからんわーとかまあ色々ある。でもそんなのどうでも良いよね。中年の成功してないおっさん3人組が少女の望みを叶えるためにいっちょ前になろうと足掻く話であって、もうその時点でジーンとしちゃうもん。
そしてなんといってもラストの慎ましさ! 普通はあそこで実は靴履いてました! を見せちゃうところだと思うんだけれども、わざとヒキで布団の下に隠して終える! そうそう、見せないこと、想像させることが大事なんですよねえこの話。
しかし、あー、あの靴の踵のカットって『嫌われ松子の一生』のオマージュ元なのか。やっぱ古典をきちんと押さえてかないと色々見落とすなあ。