うーん、もうなんていうか良い話である。
まあトントン拍子に物語が良い方向に転んで、んじゃあどこで挫折させんのかなーと思ったらすげーヘビーな挫折のさせ方でビビる。ファンタジー世界にいきなり現実がどがーんと殴り込みをかけてきた感じ。もう少し手心というものをだな……そりゃあ主人公も戻りたくなくなりますよ……
というところからどうやって彼をコッチ側に引き戻すか、というところのロジックがワリと良くできていてニヤニヤする。もちろんドラマになるように医者の性格を極端に創ってあるわけだけれども、でもまんまとその罠にはまって拍手喝采しちゃうよね。とどめに暴力というアクシデントでなし崩し的に起こる反転! 『ペーパームーン』でもあったけど、外的なアクシデントで建前が崩れる瞬間って美しいよなあ。うんうん、とてもきちんとした映画であると思います。
あとは芝居がなー、すごいよなー。見ていて本気でヒヤヒヤするもの。いやもちろん元々がヒヤヒヤする題材ってのもあるんだろうけど、そのヒヤヒヤがちゃんとヒヤヒヤになるのってすごいことだと思います。本をあげるくだりとか、ベタだけどやっぱりジーンときちゃいますよね。