ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

EVE burst error R

 

EVE burst error R

EVE burst error R

 

未プレイで機会があったのでプレイしたけれども、いやー、色々歴史の重みを感じさせられる内容だった。

純粋にストーリーだけでいうと、推理モノとしての質は全然高くない。一番大きなトリックは最高に適当だし、それぞれの組織の動きも実はあんまり上手く機能しているようには思えない。泣かせ部分のシナリオも、いやまあわからなくはないけれども全体的に大味だよなあ。主人公は魅力的だけれども、その魅力って結構コマンド入力でのつい笑っちゃうようなやり取りの親近感に支えられている気がする。

じゃあゲームにしてみるとどうよ、といわれるとまあ総当たりコマンドシステムがストーリーの進行につれて範囲が狭くなって結果としてストーリーが加速して面白いというのは、別にシステムとしての優秀さじゃなくて前半で如何にシステムが足枷になっていたかの証左だよね。新しいこのパッケージ版だと次に行く場所が指示されるからそれでだいぶ進行が助けられるけど、あの印が明示されなかったらと思うとゾッとする。ヒントすらほとんどなくて無意味な行動を強いること前提のシステムで、コマンドを何度も入力して変化が生まれることに対して原始的な喜びが見いだせる時代だったからこそ成立する形式だよなあ、と思った。

目玉の視点替えのシステムは、主人公の声が聞けて立ち絵が見れて「おっ」となるとかそういうのはあるけれども、それってそこまで魅力的なセールスポイントにはならないよね。メインのストーリーがお互いに干渉する、といっても分岐で展開が変化するのではなく物語の進行が止まるだけで、しかもその停止点には創り手の都合以外のなにもない、というのは辛い。聞いたことのあるハッキングシーンも、まああんなご都合主義な展開がプレイヤーの主体的な関与によってなんか許せてしまう、というウルトラQを決めているのは大変よくわかるのだけれども、あそこってそもそもそんなに豪腕振るう必要があるシーンには思えない。視点切り替えの連発によっては演出都合だよなーとむしろ閉口。

何の表現でもそうだけど、自分は「こういうアイディアを思いつきました」自体はあまり評価しなくて、そのアイディアから「このような効果が生まれました」がどれだけ生まれるかを重視するタイプであり、するとこの作品は「視点替えシステムを考えてみました!」と言うだけのアリバイは果たしているけど、それが活きているようには思えないってのが正直なところ。

最近しばしば見るけれども、過去の作品を何の工夫もなく現代に蘇らせるやり方は、きついなあと思いました。