ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

映画 立川談志 ディレクターズ・カット

 

うーん落語の前提知識が足りないなあ。延々と伝統のあるジャンルで、その伝統に対してどういう態度をとるか、というのが立川談志のテーマのように見受けられるけど、そもそも前提条件としての伝統をうまいこと実感できていないので、なんか全体的に雲を掴むような話に聞こえてしまう。イリュージョンってキーワードもよくわからず、それは例えば詩みたいなものなのかなあと漠然と考えたりはするものの、でもたぶんバックグラウンドがわかっていればもっと理解できたのかしらねえ。『名人伝』じゃないけど、芸を極めていくと言葉がどんどん圧縮されていって、通常の人間には理解できない世界にまで行っちゃってる感じ。あの短い言葉の裏には思索の裏打ちが凄まじい暑さであるんだろうなあ、というのははっきりわかる。

で、そこでくるっとひっくり返って代表作の「芝浜」がやってくるわけだけれども、さすがにオレも芝浜くらいは知っている。というかたぶんこのくらいしかちゃんと知らないかも。ラジオかなんかで聞いた気がする。でもこの映画観ると、うーんやっぱりラジオじゃダメだな映像だな、でも生で見るともっと良いんだろうな、というのがはっきり感じられるよね。よーく知られた物語を、ひとりの人間が何の道具立てもなしにどう演出していくのか、というのを突き詰めて、こんな表現が生まれるんだなあ。生でもっと見に行かなきゃなあ。