ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

醜聞

 

<あの頃映画> 醜聞(スキャンダル) [DVD]

<あの頃映画> 醜聞(スキャンダル) [DVD]

 

骨太黒沢ヒューマンドラマ! なんだけれども、この話の骨太さはいくら何でも骨太すぎませんか? 途中で真の主役が弁護士である辺りの意外性は「おっ!」って感じだけど、全体的にストーリーに捻りがなさ過ぎるように感じるのは、法廷もののドラマになれすぎてるからなのかなあ。ラストの告白一発でひっくり返る話って、いくら何でもシンプルすぎるような……

しかしまあそんなシンプルな筋書きで殴り来る黒沢明の演出の冴えったらないわけで、まずもってストーリーには直接的な関与のない娘の描き方が堪らん。結核美女の襖を開けたらそこには花嫁衣装が、って悪魔か! なんてあくどい演出! いつぞやの「ハッピーバースデー」を彷彿とさせる「きよしこの夜」もキレキレで素晴らしき哉、人生! いやはやあのツリー持ち出しをバイク運びカットから地べたに寝そべり星を見上げるシークエンスの素晴らしさったら溜息しか出ませんね。法廷劇はできるだけシンプルにシンプルに、弁護士にだけ物語の焦点が当たるように焦らして焦らしてお話を盛り上げて、ラストで地上の星が生まれる瞬間を見つけちゃうわけでしょ? もー、なんなんだよあの「台詞を用意していました!(ドヤ)」みたいな名言。もうこんな力業されたら屈服するしかありません。