最初は「あーこれ絶対嫌いな奴だ」と思ってアクビ堪えながら観てたんだけど、いやー、良い意味で裏切られました。オレこういう世界観の衣装って気取りすぎてて好きじゃないし、物語が牽引してくれないとあまり興味が持てないのよね……と思っていたところにやってくる分身。Doubleが現れた途端に物語が急激に加速して、分身でしか表現できない展開がバンバン飛んで来るので大変痺れた。最初は「なんだかなー」と思っていた日本歌謡演出も、レストランに花片待ってキスシーンで「ふええええええ……」降参してしまいましたよ。いやー、素晴らしい。
しかしこれを単なる解離性障害とか言ってしまうのは俺にはどーも納得がいかんなあ。もちろんそうやって説明すれば映像的な整合性の取れ無さも理性的な解釈ができるのかもしれないけれども、しかしなんでそこまで理性的に物語を解釈しなければならないのか、むしろそんな安易な解釈に落とし込まずに、わけのわからないものをわけのわからないもののまま受け取る姿勢でも、この映画では楽しめるんじゃないの? なんて思いました。