ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

人喰いの大鷲トリコ

 

理屈で言うとすげえ面白いはずなのに全然面白味を感じず困惑している。『ICO』も『ワンダと巨像』もずいぶん楽しめたし、この『トリコ』はそれらの作品で良かったポイントをきちんと分析しつつ、新たなテーマに取り組み、なおかつその新たなテーマに尋常じゃないリソースをつぎ込んでいて、極限までシンプルに削ぎ落とし、だからまあ面白くないはずないんだけどなあ、とは思うんだけど実際面白くないんだから不思議だよなあ。

もちろん操作性の悪さやステージのバリエーションの少なさに不満はあるけれども、それって空中でのアクションにチャレンジした結果だったりあるいはパズルゲームを志向せずトリコとのコミュニケーションを優先した結果だったりしたと思うので、まあそれはしょうがないかなーという気もする。不満はあるけど。

自分が一番気になってるのは「ストーリー性の排除」なんだよなあ。一般的なエンタメのストーリーではなくて、もっと根源的な、「物語」というレベルでの扱いの薄さ。前の作品でもわかりやすい「ストーリー性」は薄かったけど、女の子を助けて迷宮から抜け出したり、立ち塞がる巨大な像を倒したりって、その時点で逃れようのない「物語」が立ち上がってきてしまうじゃない? でまあ、その原始的な「物語」こそが、実はゲームに感情移入する動機だったりするわけで。そういう意味で、人喰いの大鷲との間には、共感できる「物語」が構築されているようには思えなかったんだよなあ。異文化コミュニケーションとしての側面をきちんと描く必要があったんだろうけど、ふたりは「ステージをクリアしている内に」「ゲームの都合で仲良くなってしまった」という印象が拭えない。これがもし、無目的で延々トリコと対話をするような導入だったら、作品における「物語」の捉え方も違ってくるのかもしれないなあ。