ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

僕は彼女を攻略できない。 まちがいだらけの主人公ライフ

 

増えてんなーという印象の強いメタラノベ。このジャンルは理不尽設定を押しつけられた主人公がどう振る舞うか、というのが基本的なセンになることが多いけど、その理不尽設定の扱い方って実は結構ナイーブだと思ってる。理不尽設定には理不尽設定なりのルールが必要で、読者に了解をとらずに「作者の都合」で物語を進めるなら、そりゃまあ何でもできるよね、という話。作者の手のひらの上でルールがコロコロ変更されるとして、そこで真剣にキャラクターの行動に感情移入ってできる? オレは無理だなあ。

「ハーレム」という言葉の多義性から物語を転がすこのメタラノベは、ある意味でそういうルールの扱いに対してきちんと向き合っているので、安心してみられる……のかなーと思いきや、後半の展開で考えを改める。

周囲の人間が巻き込まれるメタきっかけの障害が書き割りで終わってしまうのは、まあある種のギャグとして処理できるかもしれないけど、ラストでハーレム主人公がハーレムを成立させるための障害の超え方が、主人公の心意気ひとつでオッケー本気出せば世界から祝福されるってどーなのよ。「心意気ひとつでハーレムが成立してしまう特徴なし主人公」がハーレム物として正しいと考えてそれに沿ったというなら、自分はそういうジャンルに「全然面白味を感じない」と答えるしかないなあ。形式から導き出された結論に到る前に、もっとキャラクターに感情移入するエンタメをしてもいいじゃん? と思う。

 

でまあ、作者の過去作見たら、あー『集団美少女戦士キューティー・パンツァー』の人じゃねーか! 言われてみれば確かに納得。あの作品も、形式から導き出された妙なドライブ感が合ったけど、ラストで上げたハードルを「いやそれ超える必要あんの?」って普通の結論に最短距離でゴーしてた気がする。