ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

サトラレ

今更一気読み。
いやーすごい。序盤は紛れもない傑作で、自分の心を読まれるというワンアイディアに特殊な能力を付けることで、社会に奇妙なリアリティを持たせることに成功してる。群像劇を採用することで思考実験としての幅が広く、しかも1話ごとの作りがまた短編としてよくできていて、その強度にちょっと呆気にとられてしまった。
後半、個別の物語が大きなうねりとしてまとめ上げられていく時に、それまで個々の物語が構築していた妙なリアリティが国家の思惑や企業の陰謀に回収されてしまって、話がある意味平面化してしまった感じもしたのが個人的には残念。所々ギミック・アイディアで見せてそれはちゃんと個別の物語で機能しているけど、でもやっぱり前半の思考実験としての濃密さを見ちゃうとどうにも食い足りないものを感じてしまうなあ。