ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

Apple製品、iPhoneの素晴らしさをデザイン面から的確に説明する辺りは宗教的問題もそっちのけでもうなんの文句もなく素晴らしい解説で本文を読め、としか言えないです。いやホント読んだ方がいいです。
面白かったのは人間の「体験」をもう過剰と言えるほど強調していることで、でも確かにここまで強調されないとこの本が指し示すデザインの思想は伝えきれなかったのだろう。

こっから先は読んでいてなるほどと思った自分の勝手な解釈だけれども、我々現代の人間は無意識のうちに世界を「物理的なもの」として捉えて、プログラムなんかをしてもその「物理的なモデル」の再現に心血を注ぎがちだ。でもその「物理的な」世界というのは我々が進化の過程で獲得してきた生存に有利な世界の認識の仕方からは少し離れたところにある。淘汰圧から逃れて子孫を残すためには、思想やら科学やらよりも触るものの手触りやら視界の届く範囲の認識やらの方がよっぽど大事で、人間が五感で感じる情報というのは実は物理世界の抽象モデルではなくもっとプリミティブな現象に紐付いている。
ので、単純にプログラムで物理世界を再現するのではなく、抽象化されモデル化される以前の感触・現象・体験そのものを再現しようとするこの本のアプローチは、いやあなるほど理にかなっているなあ、と唸らされた。