- 作者: 豊田正義
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: 文庫
- 購入: 30人 クリック: 585回
- この商品を含むブログ (53件) を見る
ウィキペディアに詳細な記事があって、基本的な話の流れはそこでわかるのだけれども、やはり細部が凄まじい。おぞましい肉親同士の殺し合いが行われている合間に、「かさぶたチェック」といった言語センスが介入してくると、その落差にゾッとしてしまう。細部のリアリティを確認するだけでも読む価値がある。
またこの本の後半で一気に前面に押し出される被害者としての妻の下りが大変心に響く。「DV」という単語が目新しい用語として使われた辺りも歴史の転換点だったのだなあと思う。あとがきの下りは涙無しでは読み進められない。